※この話はAIによる創作怪談で、全てフィクションです。
あの家を出てから半年、俺たち「ベランメェ」は少しずつ仕事も増え、ようやくバイト漬けの毎日から抜け出しかけていた。
だが、ある日――ネタ合わせ中に、マサが突然言い出した。
「…なあ、最近、夢に出てこないか?あの家の“納戸”」
俺は冗談で返そうとしたが、リョウも黙ったまま、うなずいた。
実は、俺もだ。
夢の中で、あの納戸の引き戸が勝手に開き、何かがこっちを見ている。
顔が見えそうで見えない。でも、笑ってる。
そして、「戻ってきて」って、囁く声がする。
これは偶然じゃない。
そう思った俺たちは、調べ直すことにした。あのシェアハウスの過去を。
◆
区役所では限界があった。
だが、町の古い図書館には、思いもよらない情報が残っていた。
1980年代、あの住所には「小松」姓の一家が住んでいた。
父親は建築関係の職人、母親は内職、娘が1人。
だが、家族は4人だった。
図書館の地域誌に載っていた新聞の切り抜きには、こうあった。
「小松家で火災 母娘が重傷」
「納戸から焼死体、性別不明」
「一家に預けられていた“身元不詳の少女”か」
身元不詳の少女。
調べると、その子は母親の知人の子で、家庭に事情があって“しばらく預かっていた”とだけ記録されていた。
火災の発生原因は不明。
ただ、その少女が一番火の手の強い納戸で見つかったこと、そして――
遺体はまるで、自ら閉じ込められたような体勢だったと記録されていた。
俺たちは絶句した。
あの家の納戸。
俺たちが毎晩、“音”を聞いた場所。
そこに、ずっと……誰かがいたのだ。
◆
「会いに行くか」
マサが言った。
俺たちは、再びあの家へ向かった。
もう人は住んでおらず、取り壊し予定の札が玄関にかかっていた。
無断で入るのはダメだとわかってた。
でも、俺たちはドアを開け、靴を脱ぎ、三人で納戸の前に立った。
引き戸の前で、マサが手を伸ばした瞬間、リョウが囁いた。
「……ありがとう、って聞こえた」
その声にあわせて――ふっと、部屋の中の空気が変わった。
湿っていた空気が、すっと乾いていく。
引き戸を開けた中には、埃っぽい畳と、壁の一角にだけ、妙にくっきり残った手の跡。
子どもの、小さな手。
俺はふと、ポケットに入れていた飴玉を取り出して、そっとその前に置いた。
「寂しかったんだろ。ごめんな。もう俺たちは、笑わせに来たからさ」
リョウもマサも、無言でうなずいた。
そのときだった。
ガラガラ……
自動で閉じるはずのない玄関のドアが、ゆっくり閉じた。
そして、どこかから――くすっ、と笑う声が聞こえた。
今度は、前よりも少しだけ、柔らかく。
◆
あれからまた数か月。
あの家は無事取り壊された。
だが、不思議と、誰の耳にも“あの笑い声”が残っている。
俺たちは今も舞台に立つたび、どこかで見られてる気がする。
でももう、怖くない。
きっとあの子は――今度こそ、笑ってくれている。