※この話はAIによる創作怪談で、全てフィクションです。
お笑い芸人として活動してる、トリオの「ベランメェ」。
俺がツッコミ担当のユウタ。ボケのリョウと、ネタ作りのマサ。三人とも20代、売れない芸人の典型だ。
当時、金がなさすぎて、都内の安アパートじゃもう限界だった。
そこで俺らは、中古物件のシェアハウスに引っ越すことにしたんだ。
築50年、木造、家賃は破格。風呂とトイレは一応別、3部屋あり。
「ネタ作りにも集中できるし最高じゃん!」なんて盛り上がってた。
引っ越し当日、鍵を受け取って最初に違和感があったのは、玄関横に置かれてた表札だった。
「小松」って名前がうっすらと残ってたんだけど、消した跡が…なぜか赤く染みてた。
ま、気にせず、部屋割りをジャンケンで決めた。
玄関横が俺、奥の角部屋がリョウ、そして二階がマサ。
三人とも荷物を運び入れて、その夜はカレー作って乾杯した。
その日の夜。
俺は何か変な夢を見た。
真っ暗な部屋で、知らない女の人が俺を見下ろしてる夢。
表情がない。いや、顔がない、のほうが近い。
髪が濡れてて、ポタポタと落ちる音だけが、リアルに響いていた。
朝起きて汗びっしょりだった。
けどまあ、夢だと思ってそのままネタ合わせに出かけた。
奇妙だったのは、それからだった。
ある日、マサがぼそっと言った。
「夜中さ、二階の階段のとこで誰か立ってたんだけど…お前ら降りてきてた?」
俺もリョウも「いや、してない」と返した。
けど、マサは真顔で言うんだ。
「真っ黒い服で、髪の長い人。階段の途中で止まってて、何も言わないでずっと見てた」
そのときは、怖いけど笑って流した。
「お前、ホラー見すぎだろ!」って。
でも……それから、何度も「物音」がするようになった。
誰もいないはずの二階から、**ドン…ドン…**って足音。
風もないのに、襖がパタパタと動く音。
夜中に一瞬だけ、水道の蛇口がひとりでに開く音も聞こえた。
極めつけは、ある夜、リョウが顔面蒼白で部屋から飛び出してきた。
「おいユウタ!!ベランダに人いるって!!」
俺とマサで急いでリョウの部屋に駆け込んだ。
が、ベランダには誰もいない。
ただ、ガラス窓の内側に――小さな手の跡が3つ、残ってた。
手の大きさは、大人より小さくて……子ども?いや、それよりもっと細くて、薄かった。
◆
翌日、マサが区役所にこの家の登記情報を調べに行った。
帰ってきたマサの顔が青ざめてた。
「この家……4人家族が住んでたんだって。父・母・娘、あと“もうひとり”」
その“もうひとり”については、詳細がなかった。
でも、事故歴を調べると、「浴室で死亡者あり」って記録が残ってたらしい。
「誰が亡くなったのか」は、書かれてなかった。
それを聞いた夜、もう寝るのが怖くて、三人でリビングに寝袋敷いて寝た。
……が、夜中の2時すぎ。
ふいに、廊下の奥の部屋――使ってない納戸から、**ガラガラ…ガラガラ……**って音がした。
誰も起きてなかったけど、俺は目を開けてた。
気配が、あった。
納戸の引き戸が、ゆっくりと開く音がして――何かが、廊下を歩いてきた。
俺は怖くて、目を閉じたまま息を殺していた。
そしたら、すぐ耳元で、**「いるの、知ってるよ」**って……女の声がささやいた。
叫びたかった。でも声が出なかった。
息を吐くたびに、隣で寝てるはずの誰かが、寝息じゃない音を立ててた。
「グチャ…グチャ…」って、濡れたような、食べ物を噛むような音。
朝、起きて確認すると、マサの右手に大きなアザができていた。
本人はまったく覚えていないって言ってた。
◆
それから、俺らは3か月でその家を出た。
引っ越す前夜、三人で最後の確認をしたとき、ふと気づいた。
玄関の靴が……4足、あった。
「なあ、俺ら3人だよな?誰か呼んだ?」
けど、誰も知らない。
真っ赤な小さな靴が、一番端に並んでいた。
俺たちは無言でそれを見つめていた。
「……笑ってくれてたらいいんだけどな」
リョウがポツリと言った。
でも、その声に重なるように、後ろからくすくす笑う声が、確かに聞こえた。
それが、女か、子どもか――もう確かめたくもなかった。